化粧品企画ヒットの法則 | 株式会社ビューティブレーン

UPDATE: 2015年7月3日

【法則20】次なる一手の××

成熟したマーケットである化粧品市場、もはや単純に「おしゃれブランドだから」「オーガニックだから」では売れません。各社、新しい付加価値コンセプトを模索しています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

①オーガニック市場の次なる一手
『インターナショナルコスメティックス　Dr.ハウシュカ　エチケットロールオン』
50ml　2,500円　2015年5月1日発売

オーガニック市場で見つけた次なる一手は、ロールオンタイプの制汗剤です。有機栽培「バイオダイナミック農法」で育てられた植物や野生の植物から抽出した成分で、嫌な臭いをカバーし、乳がんの危険性が指摘されているアルミニウム不使用なので安全というポイントが、他社との差別化に。

確かに、ワキなどの肌がデリケートな場所に使うことが多いので、スキンケアやメイクよりも、こっちをオーガニックにしたい！と思う人はいるはず。従来の制汗剤が合わなかった敏感肌の人やオーガニック好きな人には好感度大の商品です。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

②おしゃれブランド系の次なる一手
『レ・メルヴェイユーズラデュレ　フェイス＆ボディフォームウォッシュフォーマザー＆チャイルド』
300ml　2,500円　2015年5月1日発売

おしゃれブランド系の次なる一手は、ブランド系のママ＆ベビーのシリーズ。マカロンで有名なフランスの老舗パティスリーブランドがコスメになったと話題のラデュレですが、今の時代、それだけでは売れません。ラデュレはブランドに甘えず、商品の企画がきっちりしている印象のブランドです。

こちらは、ふんわり泡でやわらか肌に導く、子供も使える全身用マイルドソープで、赤ちゃんや子供にも使えるという品質は決して新しいものではありませんが、マザー＆チャイルドと商品名にもバッチリつけている点が堂々たるもの。これぞラデュレ！というパッケージ、意外と手頃な価格で、活性化しているママギフト市場を狙っています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

③美容家電の次なる一手
『ヤーマン　スカルプドライヤー』
18,000円　2015年5月1日発売

美容家電の次なる一手は、スカルプケアできるドライヤーです。育毛剤の塗布前に、ブラシ側を直接頭皮に当てて使う「温感スカルプケア」と、育毛剤の塗布後にブラシを頭皮に当てて使う「冷涼スカルプケア」、ブラシとは反対側で通常のドライヤーのように使う「低温ドライ」と３つのモードを搭載。

美髪ケアだけではなく頭皮にアプローチしようという、ありそうでなかった発想で、うちの社内でも欲しいというスタッフが続出しています。おそらく大手家電メーカーや通販で追従されるはずですから、ドライヤーにスカルプケア搭載というのはスタンダードになりそうな予感です。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

★「週刊粧業」にもコラム連載中です！
2015年6月29日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。

UPDATE: 2015年6月5日

【法則19】新しい洗顔の××

最近、洗顔ジャンルの新製品にユニークなものが続々と登場しています。ユニリーバのダヴで朝の洗顔についてのＣＭが流れ「朝の洗顔、改めてどうしたらいいのだろう？」という気分も盛り上がっています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

①寝ている間の皮脂分泌や酸化した化粧品汚れも落とす
『ディーアール　朝活クレンジングバーム』
80g　1,800円　2015年4月1日発売

最初にご紹介するのは、朝の洗顔中に潤いを補給するクレンジングバームです。寝ている間の皮脂分泌や、酸化した化粧品汚れも落とすという触れ込みです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

②寝起き肌に貼るだけで、洗顔、スキンケア、化粧下地まで完了
『スタイリングライフ・ホールディングBCL カンパニー　サボリーノ　目ざまシート』
32枚入り　1,300円　2015年4月27日発売

お次は、サボリーノというブランド名からしてユニークで、ぐうたらさん向けのアイテムと一目でわかるネーミングです。寝起き肌にそのまま貼るだけで、洗顔、スキンケア、化粧下地までOKというシートマスクです。

朝これ1本で･･･というオールインワンゲルやＢＢクリームはあるけれど、シートマスク1枚で完了というのはかなり新鮮です。しかも、ベッドに寝たまま出来るのでその間に目が覚めるという、化粧品に目覚まし機能を持たせた画期的発想なのです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

③シート状の炭酸パックで貼るだけ毛穴ケア
『レバンテ　リッツ　潤白泡ブライトニングパック』
1枚￥460 / 4枚￥1,700　2015年４月15日発売

そして最近では、美白ジャンルでも洗顔機能のついたスペシャルケアが注目を集めています。美白ケアはシミやソバカスを予防するだけではなく、全体の透明感をあげることも大きなニーズなので、その点、即効性が期待できる洗顔は重要なアイテムなのです。

こちらは、シートマスクをのせるだけで柔らかな泡が発生し、肌を包んでこすらず毛穴ケアができるパックです。「潤白泡」という商品名や7種の高山植物エキスからなる複合成分「ギガホワイト」という成分名が、なんとも効きそうでうまい企画だなと思いました。

また、「泡状の炭酸パック」ではなく、「シート状の炭酸パック」という品質も画期的です。泡をのせることもなく、肌をこすることもなく、シートマスクをのせるだけ、１回ワンコインで買えるというのは、お手軽だし一度はやってみたくなりますね。ただ、こういう飛び道具的ケアは、リピートにつながらないというのも悩みどころなのですが。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

④洗顔に美白マッサージパック効果をプラス
『花王　エスト　ホワイトニングエステ』
125g　8,000円　2015年４月11日発売

この分野でリピート買いを本気で目指しているアイテムといえばこちら。スペシャルケアは習慣化しないので、誰もがやっている「洗顔」に美白マッサージパック効果を持たせたアイテムです。

確かに、なかなか効果を実感しにくい美白美容液や、面倒なマッサージやパックは続きません。いつもやっている洗顔にくっつけたというのはうまい発想ではないでしょうか？

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

★「週刊粧業」にもコラム連載中です！
2015年5月18日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。

UPDATE: 2015年5月7日

【法則18】最新テクノロジーの××

しばらく続いた不景気によって、長らく化粧品市場では「キャッチコピーの上手さと価格の安さ」のプチプラ商品がヒット傾向にありました。しかし、回復傾向になった昨年から、中高価格帯ゾーンの市場が活気づいてきたように思えます。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

①新しいテクスチャーのハイテクファンデーション
『パルファン・クリスチャン・ディオール　ディオール　ディオールスキンヌードエアーフルイド』
全4色　各30ml　SPF25・PA++　6,300円　2015年3月20日発売

『イヴ・サンローランボーテ　タンアンクルドポー』
全7色　各25ml　SPF18・PA++　6,500円　2015年3月6日発売

例えば、今年のクチュール系ブランドのファンデーション、続々とハイテクな機能のものが登場しています。「ディオール」の新ファンデーションは、エアーフルイドというネーミングの通りのテクスチャーで「オイルなのに、こんなに軽いの！？」と編集者やライターの間で話題になったとか。

「イヴ・サンローランボーテ」の新ファンデーションは、肌の上でリキッドがパウダー状に変化するテクスチャーで、すぐしみこみ、有効成分を残して蒸発するインクのメカニズムを応用した全く新しいファンデーションです。

両方とも肌に乗せてすぐわかる新しいテクスチャーで、キャッチコピーの上手さでごまかす商品とは一線を画する真の実力アイテムです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

②マイナスの要素をプラスに転じるテクノロジーを搭載したUVケア
『ロート製薬　オバジ　オバジＣセラムファンデーション』
全5色　各30g　SPF30・PA+++　3,000円　2015年3月10日発売

『資生堂インターナショナル　SHISEIDO　サンケアパーフェクト UVプロテクション N』
50ml　SPF50+・PA++++　4,500円　2015年3月1日発売

また、夏対策ケアの新しい動きは見逃せません。汗や紫外線など、マイナスの要素をプラスに転じるテクノロジーが化粧品開発の中で注目されています。「オバジ」の新UVケアは、ロート製薬が独自に開発した紫外線を吸収すると赤く発光する“トーンチェンジパウダー”を配合し、赤い光が凹凸をカバーするだけでなく、血行を促進するという新発想、新技術。紫外線＝ひたすら避けなくてはいけないものだった紫外線との付き合いを変える商品です。

また、「SHISEIDO」の新UVケアは、汗や水で紫外線防御膜が強化する新発想の日焼けどめです。独自のウェットフォーステクノロジーにより、サンスクリーンと汗や水に含まれるミネラルが結合することで、紫外線防御剤もとりこまれて防御膜が塗りたての状態よりさらに均一性が高まり、防御膜が強化するというメカニズムだとか。従来のウォータープルーフタイプといえば、汗をかいても水を浴びてもＵＶ効果を落とすことなく、紫外線から素肌を守り抜くというものでした。

新テクノロジーコスメの豊作シーズンの2015年春、化粧品企画コンサルタントとしてのみならず、いち消費者として久しぶりにワクワクした気持ちになりました。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

★「週刊粧業」にもコラム連載中です！
2015年4月27日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。

UPDATE: 2015年4月6日

【法則17】印象をつくる××

弊社の女性トレンドのシンクタンク「女性潮流研究所」で行っている女性誌の見出しワード研究で、2015年になってから多くなってきたことばのひとつに「スタイルアップ」というワードがあります。最近のファッションは「普通がいい！」というトレンドで、ユニクロや無印良品を上手にコーディネートに取り入れるような流れが続いています。普通のアイテムを着ているのにオシャレに見せるためには、コツが必要、そのテクニックが「スタイルアップ」というわけです。

ファッションだけではなくメイクの世界にも、流行の「トレンドメイク」でもなく、アイプチやつけまで激変させる「整形メイク」とは異なる、まさに「スタイルアップメイク」と名づけてもいいような新製品が続々と現れています。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

①ムードゾーンで全体の印象にアプローチ
『資生堂　マキアージュ　ドラマティックムードヴェール』
全２種　各８ｇ　3,500円　2015年１月21日発売

一つ目は、ほおを中心とした部分を、「ムードゾーン」＝美人を印象付ける決め手のパーツとして、内側からにじみ出るような天然血色とツヤを与える、クリーミーなチーク＆フェイスカラーです。

「目を大きく」「唇をぷっくり」という整形効果ではなく、「美人な印象」という“イメージ”に着目しています。このパーツではなく全体の印象にアプローチするというのが、まさに「スタイルアップメイク」の流れです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

②スマイルオーラで全体の印象にアプローチ
『ベネフィーク　セオティリップグロス (スマイルオーラ)』
全５色　2,000円　2015年１月21日発売

二つ目は、ぷるんとつややかに、口角が上がったように見せるリップグロス。通常のグロス機能に加え、口角にフィットするオリジナルのスパチュラで、口角があがったような唇に仕上げ、笑顔印象をつくるというものです。

グロスといえば、唇中央にのせて立体感演出…というのが今までの定番で、口角とは新しい発想です。「スマイルオーラ」というネーミングで、こちらも全体の印象にアプローチするコンセプトです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

③「ハート型」の顔で全体の印象にアプローチ
『クリニーク　チャビースティックスカルプティングハイライト』
3,500円　2015年2月20日発売

『クリニーク　チャビースティックスカルプティングコントゥール』
3,500円　2015年2月20日発売

こちらのテーマは、ずばり「ハート型」の顔です。頬がキュッと盛り上がり、顎はしゅっと締まっている顔こそ、エイジングの影のない美しい顔だという理論で、それを造れるのがこれらのアイテムになるといいます。

このように、パーツごとの色や形を大げさに強調するのではなく、緻密なメイクアップ理論やバルクや小道具の新規性で「顔の印象」全体にアプローチする「スタイルアップメイク」は、特にカウンセリングブランドでは説得力があるキラーアイテムとなりそうです。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

★「週刊粧業」にもコラム連載中です！
2015年3月30日発行号の「週刊粧業」にこちらの記事が掲載されました。

UPDATE: 2015年3月20日

【法則16】子供のような××

皆さんは “ネオテニー（neoteny）”ということばをご存知でしょうか？生物学の分野で使われることばで、意味は「動物において、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な幼生や幼体の性質が残る現象」です。早い話が「大人になっても子供の要素は持ち続ける」ということです。

動物の話ですが、「大人に子供の部分がある」というのは、人間にもあてはまります。そして、ビジネスの現場ではこのネオテニー発想がヒットの鍵となるケースが多いと最近思うようになりました。

例えば、昨年、空前のブームとなったのは、大人まで巻き込む要素が盛られた２つの子供向けのコンテンツでした。「妖怪ウォッチ」には、キャラクターの中に、アップル創業者の故スティーブ・ジョブズと映画ジョーズを掛けたスティーブ・ジョーズというメガネをかけたサメがいます。ヨップル社の社長で妖怪IT業界の革命児という設定で、お父さんたちの心を刺激します。

また、「アナと雪の女王」には、第一印象がいい王子様が必ずしも善人ではないという大人の恋愛指南書のようなストーリーで未婚女性の心を揺さぶりました。２つとも子供をターゲットにした商品ですが、化粧品にも考えを応用できないでしょうか？

そこで、今回、「大人の子供心」を刺激する２つの限定品のメイクアップパレットのデザインをご紹介します。